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【本ドラッカー】最大の罪とは? (注:重いです)

【本ドラッカー】ドラッカー わが軌跡 P.F.ドラッカー ダイヤモンド社
ドラッカー わが軌跡ドラッカー わが軌跡
(2006/01/27)
P.F.ドラッカー

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P.F.ドラッカー。

毎日読んでます。

「ドラッカータイム」を設けて、毎日30分ほど
ちびちびと読んでいます。

一時間かからずに読める本もあるっていうのに
ドラッカーの本は、30分30ページがいいところ。

読んでいても、考え込まされる内容が多いので
2週間くらいかかっちゃうんですよね。

さて、今回はそんなドラッカー本を。
本書は、数多くの人々に影響を与えてきたドラッカーの著作の中でも

「もっとも面白い」「一番好き」

と読者が賞賛する本です。


確かに面白い。

登場人物が、みんなユニーク。


自分の人生を生きているひとばかり。

有名、無名、関係なしに
しっかりと自分の意志をもって生きている。

なんていうか、勇気づけられるものがありますね。


さてでは、特に心に残ったところを。

ドラッカーといえば、ナチスの危険性をいち早く察知し
警鐘を鳴らしたことでも有名です。

あの時代の空気感というか、
当時の人たちはどう思っていたのか、ということが
伝わってきます。

ヒトラーが直接出てくることはありませんが、
徐々に迫ってくるナチスの影がところどころで描かれるのですが……。

結構な怖さです。

おそらくドラッカーがユダヤ人であることも関係しているのでしょうね。


そうそう
スターリンの大虐殺が、あまりに馬鹿げていて、ひどい話だったために
当時の人々は嘘と決めつけ、信じなかったこととか。


「ナチスがドイツの覇権を握っていたとき
良識あるドイツ人はいなかったのか」

などという意見がありますが
現代の視点から見て、そんなことを偉そうに言うことなんて出来ないですね。

ナチスの全盛期のドイツがどのようになっていたのかを知らない僕達には、
どれだけ想像力を働かそうとも、結局は虚構になってしまうのでしょうね。

経験したことがないことは、想像することすらおぼつかないものです。

ある程度過去の情報が出そろっている今では、
情報が限られているなかでの世界について、知り得ないのかもしれません。



その点本書は、当時をまさに生き抜いたドラッカーが書いているので
重みが違いますね。


今回特に書きたかったのは、

8章、怪物ヘンシュと小羊シェイファーの運命

についてです。

ナチスの影が、この章全体を覆っています。

怪物ヘンシュとは、ナチス・ドイツの親衛隊SS副司令官のヘンシュ中将。

小羊シェイファーとは、ドイツ最高の新聞の編集長のポストをナチスに提示され、
それを受けて、1933年にドイツに渡ったジャーナリストです。


1933年、ドラッカーがドイツを去る最後の夜、彼はヘンシュと過ごすことになります。

とはいえ、仲がよかったわけではなく、ドラッカーの退社を受けて話をしに来ただけなのですが。

ヘンシュは、ドラッカーが働いていた新聞社の同僚。

ドラッカーが将来を期待され、かなり早く昇進していたのに対し
ヘンシュは本人が言うところ、「文章も下手」で
「未だに駆け出しのときと同じ、市役所周り」をさせられています。

そんな彼は早くからナチスに入党し、この頃にはナチスの幹部になっています。

この時点で、ヘンシュはすでにナチスの異常性に気付いてはいるのですが……。

抜け出したいと思いつつも、後には引けないような状況になっています。

彼が、ナチスに入党したのは「力が欲しい。金が欲しい。ひとかどになりたい」から。


一方シェイファーは、『タイム』『フォーチュン』『ライフ』などの
そうそうたる雑誌からの魅力的なオファーを断り、

ナチスの息がかかる雑誌社に行きます。

彼は「事態の悪化を防げるのは、私しかいない」という使命感のもとに
ナチスが自分を利用しようとしているのを承知で、飛び込みます。

しかし、結局はナチスに都合のよい情報だけを発信する存在となってしまいます。


さて、この二人に対して、ドラッカーはこのように書いています。

ヘンシュのように、自らの野心のために悪を利用しようとするとき、人は悪の道具とされる。そして、シェイファーのように、より大きな悪を防ぐために悪を利用しようとするとき、人は悪の道具とされる。



そして続けて。

これまで長い間、私は、つまるところ、彼ら怪物と小羊の二人のうち、いずれが行おうとしたことのほうがより大きな害を成したか、ヘンシュの権力への欲求とシェイファーの自己への過信の、いずれがより大きな罪だったかを考えてきた。




ヘンシュは自ら積極的にナチスに関わり、
「ユダヤ人と反ナチス勢力の絶滅、心身障害者の浄化、レジスタンスの制圧を行った」。

一方のシェイファーは、その知名度を利用され
ナチスの残虐ぶりや迫害ぶりを「偶々の行きすぎ」として実態を伝える妨げになった。


個人的には考えるまでもなく、シェイファーだと思うのですが……。

ドラッカーの答えは?

しかし、ようやく私は、おそらく最大の罪は、これら昔からの二つの悪ではなかったと考えるに至った。おそらく最大の罪は、二〇世紀に特有の無関心という名の罪、すなわち、殺しもしなかったし嘘もつかなかった代わりに、賛美歌にいう「彼らが主を十字架につけたとき」、現実を直視することを拒否したあの学識ある生化学者によるだと考えるにいたった。




ドラッカーはこの二つの悪が、最大の罪ではないと言います。

では、最大の罪とは?

「おそらく最大の罪は、二〇世紀に特有の無関心という名の罪、すなわち、殺しもしなかったし嘘もつかなかった代わりに、賛美歌にいう「彼らが主を十字架につけたとき」、現実を直視することを拒否したあの学識ある生化学者による罪」だと言います。


ここで新たな人物が。

「あの学識ある生化学者」とは、ドラッカーが在籍していたフランクフルト大学の生化学者のことです。

当時、フランクフルト大学は「ドイツでもっともリベラルな大学で、学問と、良識と、民主主義への献身を誇りとする最強の教授団を擁する大学」でした。

彼は、そんなフランクフルト大学の中でも、「ノーベル賞クラスの業績と、そのリベラルな思想により群を抜いて敬意を払われて」いました。

そして1933年、フランクフルト大学で全教官が招集される拡大教授会が開かれました。

そこにナチス・コミッサール(政治委員)がやってきて、
ユダヤ人の学内立ち入り禁止、給与の支払いなしの解雇など、誰もが取りえないと考えていた
措置を実行します。

「手前ら、言うことを聞けなければ収容所だ」と。

水を打ったように静まりかえる会場のなか、出席者は「例の生化学者が、何かを言ってくれるのを」待ちます。

以下、引用です。

ついに、彼が立ち上がり咳払いをしてこう言った。
「コミッサール殿、大変興味深く、大変よくわかりました。しかし、一つだけよくわからないことがあります。生化学の研究費はこれからどうなりましょうか」


これこそが、ドラッカーが最大の罪というところの「無関心」です。


同僚のユダヤ人が、大変な目に遭おうとしているにもかかわらず
興味は自分の研究が滞りなく進めていけるのかどうかだけ。

ナチスの仕打ちに、積極的に荷担していないとはいえ
ユダヤ人の擁護もなにもしない。

それも、自分の身をまもるために関わろうとしなかった、というよりは
本当に単純に、興味がなかっただけ、という感じで書かれています。

ドラッカーの言うとおり、「現実を直視することを拒否」してしまったのでしょう。


こうしたことを、ドラッカーは最大の罪だ、と言います。


……ものすごく考えさせられます。

本当にそれが、最大の罪なのか?

最大の罪は、悪を働いたものに属するのではないのか?


この問題提起は、安易な解答を許してはくれませんが
一人ひとりが、考えておくべきことだと思います。


情報が氾濫する昨今。

知識量が増えるにしたがって、無関心にならざるを得ない部分も
多くなっていくと思います。

伝えられてくる情報が多ければ多いほど、
一つひとつに時間をかけることができず、結果無関心になってしまうことも
あると思います。


でもそれは、本当に正しいことなのか? 仕方がないことなのか?


ドラッカーがいっていることは、
何もナチスに対してだけではないと思います。


たとえば、親の虐待で子供が餓死してしまったという事件。

このとき、ドラッカーがいうところの最大の罪は
誰に帰属するのでしょう?

子供に食事を与えなかった両親?

子供を見かけないことに気付かなかった近所のひと?

虐待をしている両親から子供を保護しなかった児童相談所・警察のひと?

保護する体制を整えることができていなかった政治家・官僚?


……それとも、そうした事件が起きているのを知りながら
ただ心を痛めるだけで、具体的に何も行動していない自分?



あらためて考えてみて下さい。

ドラッカーは何を「最大の罪」と言っていますか……?





……まあ、今回取り上げたところの「最大の罪」は
なにぶん宗教色が強いので、全員が納得できる解答はあり得ないと思います。

僕自身、ドラッカーの考えが正しいのかどうか
現時点では判断がつきません。



冒頭で、「もっとも面白い」と書いた割に
すごく重いテーマになってしまいました……。

ただこれは、全15章のうちの、8章について書いただけなので
その他の章は楽しく読めるところも多いですよ。

フロイトが出てきたり、アルフレッド・スローンが出てきたり。


ドラッカーの本は、ほんの些細な部分でも
真剣に考えざるをえないようなことを提起してくれるので
読むのに非常に骨が折れます。

でも、それこそドラッカーの醍醐味だと思うのですよ!
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Author:ぼってぃー
キノキョウ-昨日より今日、今日よりも明日少しでも前進、向上!

税理士試験、受験生です。
昨日よりきょう、少しでも成長していきたいと思っています。ここでは主に本の紹介をしています。

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