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【本伝記】わが友マキアヴェッリ3 【マキアヴェッリと2chのつながり】

【本伝記】わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 塩野 七生 新潮文庫
わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)
(2010/04/24)
塩野 七生

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マキアヴェッリ。

権謀術数の男、というイメージ。

マキアヴェリズムを広辞苑で調べると

マキアヴェリズム【Machiavellism】
目的のためには手段を選ばない、権力的な統治様式。マキアヴェリの「君主論」の中に見える思想。権謀術数主義。


とあります。

これはおそらく、『君主論』の有名な一節、

祖国の存亡がかかっているような場合は、その目的にとって有効ならば、いかなる手段も正当化される。

のインパクトが強すぎるからなんでしょうね。

でも君主論を通して読んでみると、権謀術数と言うよりも
至極真っ当なことを書いているだけだという気もしました。

倫理、道徳とは別の次元で話していますしね。



権謀術数、というイメージを持つ『君主論』を書いたマキアヴェッリ。

さぞや、狡猾なんだろうと思いきや
すごく実直なお方。フィレンツェに尽くす、尽くす。

さぞや、真面目な堅物かと思いきや
すごく開けっぴろげで、ユーモアあふれるお方。


著述家として今にその名が伝わっているので
遺した作品によって性格が位置づけられるのも無理はないと思いますが
それだとマキアヴェッリの魅力はわからない。


今回はマキアヴェッリの人間性をえぐり出してみようかと。


本書のなかでは重要な部分ではありませんし
マキアヴェッリの生涯を知るうえでも重要ではありませんが
僕が大好きな部分を引用します。

マキアヴェッリが身近になること請け合いです。


これから引用する箇所は、
マキアヴェッリとその親友、フランチェスコ・グイッチャルディーニの間での
手紙のやり取り。

このとき、マキアヴェッリ52歳。
君主論や喜劇などで名声を博していますが、立場的には不遇の時代。

一方グイッチャルディーニは38歳。
大人びていて厳粛な性格。
名家の出身で、このときはモデナの長官をしています。


まずはグイッチャルディーニからの手紙を受けての
マキアヴェッリの返信。

補足情報。マキアヴェッリは優れた能力を持ち合わせていたのですが
政治の流れで追放されてしまいます。
この手紙を書いているときも、ちょい役で出張中。

ではでは、マキアヴェッリの手紙から引用です。
もちろん引用元は『わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉』です。

それにつけても、もしもあなたが何かの理由をつくってここに来られれば、それにこしたことはない。来られなくても、手紙を送ってくれるだけでもよいのです。つまり、今日のように、あなたが手紙を毎日書いて、毎度兵士にそれを持たせてよこすとなると、わたしはおおいに助かるんですよ。
まず第一に、それによってわたしはあなたの助言に浴すことができる。そして、第二には、ここの連中の眼に、わたしが大変な重要人物ででもあるかのように映るからです。今日受けとった手紙も、これを持参した石弓兵は、地面に頭がつきそうなほども深いお辞儀をし、至急の通信でございます、などと言ったので、ここの連中の背はとたんにしゃんとなり、大騒ぎになりました。
もちろん、わたしのような者がこの機を逃すわけがなく、皇帝はトレントで待機中とか、スイス傭兵はなにやら新しいことをおっぱじめそうだとか、フランス王は戦いをはじめたいのだが側近たちが反対しているとか言ったので、連中はみな口をポカンと開け、帽子を手にしたまま唖然としていました。
わたしが今、この手紙を書いている間も、連中はわたしを遠巻きにし、わたしが長々と書いているのを見ては感心し、興奮した眼をわたしからそらさないでいるのです。わたしも、彼らをもっと驚かせようと、ときどきペンを止め、想いをまとめるかのように、深々と息を吸いこんだりしてやります。そうすると、ますます彼らは、あくびの連続で口が閉じられないかのように、大口を開けた状態をつづけるというわけで。しかし、もしも連中が、わたしが何を書いているかを知ったら、もっと驚くと思いますけどね。



この状況が楽しくなったマキアヴェッリは
手紙の最後に明日も手紙を届けてくれるよう頼みます。

遊びを続けたいんです。


この手紙を受けて、
普段は厳粛なグイッチャルディーニがまた手紙を書きます。

親愛なるマキアヴェッリ、あなたに対して助言を与えるなどという時間も頭脳もない身とはいえ、あなたの困難な任務を側面から援助できるなら、何でもやると決めました。それで、この手紙も石弓兵に持たせます。兵には特別にわたしから、重要きわまりない文書だから、できるかぎり早くとどけるよう命じました。シャツが汗まみれであろうと、取り換える必要もないと。この兵士の到着に居合せた人ならば、あなたが、修道士などと交渉するにはもったいない、すこぶる重要な人物と思うでしょう。そして、あなたへの待遇も、考え直す必要があると思うにちがいありません。
チューリッヒからとどいた報告書を、同封しておきました。どんなふうに使ってもかまいません。彼らに見せようと、手にもって持ち歩こうと、あなたが有効と思われた方法で活用なさるように。
昨日、あなたが宿所にしている家の当主にも、あなたがいかに貴重な人物であるかを書いた手紙を送りました。彼は返事に、どういう意味で貴重な人物なのかを知らせてほしいと書いてきたのですが、わたしは明記を避けました。そのほうが、謎はより深くなると思ったので。



マキアヴェッリの遊びに乗っかるグイッチャルディーニ。

素敵です。


そしてマキアヴェッリ。

われわれのいたずらの効果は絶大だ。汗まみれになって到着する兵士と、その彼が捧げもってくる部厚い文書の束の前には、もう誰もかもが恐れ入った様子です。この家の主人にかぎらず、近くの家の人々も、いやあもう興奮しているのって何のって。わたしのほうも、スイスからの通信など手にもっては、いわくあり気に右往左往するという調子。




このユーモアあふれる子供心いっぱいのおとなふたり。

かたや苦難の人生を歩んできた作家。

かたや着実に頭角を現しつつある実力者。


この二人の間で
 こんなお茶目な手紙がやり取りされていたなんて……!


歴史上の偉人と言っても生身の人間なんですよね。

それを痛烈に感じさせてくれる
素敵な往復書簡。


こうしたマキアヴェッリの人間像を知ったうえで
君主論を読んでみると、まったく違ったものが見えてくるかもしれません。


……と、まとめてみましたが。

長々と二人の手紙を引用させていただいたのは、いわば布石。

本当に書きたかったのは、ここから。


一ヵ月ほど前までハマっていた『シュタインズ;ゲート』というゲーム。
Steins;Gate(通常版)Steins;Gate(通常版)
(2011/06/23)
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このゲーム、携帯電話がいろいろと重要になってくるのですが
そのなかで主人公が架空の相手に電話で話す場面があるんですね。

……これだけだと意味がわからないのですが、とにかくその元ネタが
上で引用したマキアヴェッリとグイッチャルディーニのやり取りを彷彿させてくれて
ニンマリするんです。

元ネタまとめ Steins;Gate

カッコいいと思ってやってる・やってた行動6

というやつです。漫画付き。


この遊びを実行に移した大学生は
諧謔心でも度胸でも、マキアヴェッリと肩を並べている……っ!


リンク先の漫画を見たあとで
あらためて二人の手紙のやり取りを読み返すと

また違ったものに見えるという。。。



思わぬものに出逢えるから
読書はやめられないんですよねー。
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税理士試験、受験生です。
昨日よりきょう、少しでも成長していきたいと思っています。ここでは主に本の紹介をしています。

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